こんな体験 その1
小さな飛行機の開けっ放しになったドアから恐いもの見たさの心境で外界に目を向けたとたん、私はひどいめまいがして命綱をより一層強く握り締めた。
何しろここは地上二千メートルの上空。
富士山の半分より高い、と、そう考えただけで気が遠くなりそうでした。
そんな高いところから「じゃ、またね」とだけ言い残し、次の瞬間には彼女は外へと飛び出していった。
「あっ」と声を上げる間もなくその姿は驚異のスピードで下界へと消えていった。
私はめまいどころか軽い吐き気すら覚え「気が知れない」とだけ思いました。
今頃は既にだいぶ下がって地上千メートルあたりを浮遊しているであろう彼女のことを想像してみる気力もなかったのです。
まったく、こんな恐ろしい趣味を持っているなんて、気が知れない以外の何であろうか。
それから二十分後、機上の人として無事地上に生還した私は、「飛ぶ人」として同じく無事生還したルーシーに下界で再会しました。