こんな体験 その2
ヘルメットをはずしたその顔は、頬が軽く上気している以外はまったく平常そのものでした。
先程の恐怖でまだ膝ががくがくしている私と比べ、何と堂々と落ち着き払っていることでしょうか。
「さあ、いよいよ次はあなたの番よ」「と、とんでもない」とりあえずちょっとだけ笑ってそう答えた私の声が冗談ぼく聞こえたとしたら、それはとんだお門違いだ。
私は確かに心の底から「とんでもない」と思っていました。
単なる見学者として飛行機に同乗しただけでもう充分だったのです。
パラシュートという途方もない趣味を持つこの若い女性は、けたけたと明るく笑って私の肩をたたき、「最初は誰だってちょっと恐いのよ」と励ました。